【飲食店のM&A】2022年の飲食業界におけるM&Aトレンド

昨今、飲食業界は新型コロナウイルスによる影響、少子高齢化、節約志向の煽りを受けております。本記事では、売手目線のトレンド、すなわち売手の売却理由を5つに分類し、そのうち2つの売却理由について、実際の事例を用いて詳細を解説していきます。


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昨今、飲食業界は新型コロナウイルスによる影響、少子高齢化、節約志向の煽りを受けております。大手企業・中小企業を問わず、M&Aによる事業シナジー・付加価値創出、事業売却による選択と集中が業界全体でますます加速すると予想されます。

本記事では、売手目線のトレンド、すなわち売手の売却理由を5つに分類し、そのうち2つの売却理由について、実際の事例を用いて詳細を解説していきます。売手の業界トレンドを把握することは、買手にとって交渉や買収後の経営を成功に導くヒントです。それぞれについて、確認をしていきましょう。

2023年の飲食業界について

2023年の飲食業界は、堅調な企業と低迷が続く企業の二極化が考えられます。

それに応じて飲食業界全体のM&Aは活発になり、業界構造が大きく変わる年になると推察されます。

コロナ禍による人々の生活様式の変化に対応するように、2022年の飲食業界M&Aでは経営資源の選択と集中による事業ポートフォリオの最適化を目的とした戦略的売却が顕著となりました。2023年以降、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを「5類」に引き下げられることが検討されていることやインバウンドの回復につれて、コロナ禍を超える業績を上げる企業も現れています。しかし一方で、原材料費等のコスト高騰や、コロナ融資の利払い開始などにより、業績が戻らない企業は先行き不安から売却や倒産を検討していく可能性が予測されます。

飲食業界M&Aの5つのトレンド

ここ数年の飲食業界におけるM&A(売主目線)には、以下の5つのトレンドが見られます。

  • 戦略的売却型
  • 事業承継型
  • 再生型
  • ファンド売却型
  • 資本業務提携・経営統合型

今回はこの5つのトレンドのうち、「戦略的売却型」「事業承継型」について実際の事例を用いて解説いたします。

1.戦略的売却型

戦略的売却型とは、大手飲食チェーンなどが業態整理を行う場合などが該当します。特に、コロナウイルスによる影響が大きい飲食業界においては、注力すべき事業の見極めが迫られていたとも言えます。

たとえば2022年3月、ダスキンは大阪・北摂エリアで事業展開するベーカリーショップ「Bakery Factory」事業をベーカリーショップの運営を手掛けるStone Food Entertainmentへ事業譲渡しました。「Bakery Factory」は郊外型・大型ベーカリーショップとして計4店舗を直営店で展開していましたが、事業環境の変化やダスキンにおいてFC事業としての今後の展開が困難であることを踏まえ譲渡する考えに至りました。

たとえば2022年3月、ダスキンは大阪・北摂エリアで事業展開するベーカリーショップ「Bakery Factory」事業をベーカリーショップの運営を手掛けるStone Food Entertainmentへ事業譲渡しました。「Bakery Factory」は郊外型・大型ベーカリーショップとして計4店舗を直営店で展開していましたが、事業環境の変化やダスキンにおいてFC事業としての今後の展開が困難であることを踏まえ譲渡する考えに至りました。

買手から見ると、売手側の運営下では収益性が低い場合でも、買手側とのシナジーにより早期に業績を改善させて利益を出せる可能性があります。また、好調事業を引き継ぐことができることも多く、譲受後から早期に利益を出すことができます。好調事業である場合、売却金額は高くなりますので、投資に見合った収益を得られるかという観点のチェックは必須です。

2.事業承継型

事業承継型とは、後継者のいない高齢オーナーなどが事業承継させることを目的として売却するタイプです。弊社独自の調査では、2022年のM&Aのうち18%が事業承継型に該当します。

たとえば、2022年8月にJFLAホールディングスは、大正設立の老舗パン菓子類製造販売などの栄喜堂を買収し全株式を取得しました。ベーグル「BAGEL&BAGEL」や老舗洋菓子ブランド「アンジェリーナ」など、高付加価値を有するブランドを中心に販売事業ポートフォリオの再構築と製販一体型モデルを強化し、既存事業との相乗効果を見込み、今回の買収に至りました。

たとえば、2022年8月にJFLAホールディングスは、大正設立の老舗パン菓子類製造販売などの栄喜堂を買収し全株式を取得しました。ベーグル「BAGEL&BAGEL」や老舗洋菓子ブランド「アンジェリーナ」など、高付加価値を有するブランドを中心に販売事業ポートフォリオの再構築と製販一体型モデルを強化し、既存事業との相乗効果を見込み、今回の買収に至りました。

事業承継型の対象となる売手は、長年店舗運営を継続しておりブランドやノウハウがある場合が他のタイプと比べて多くなります。ブランドやノウハウといった無形資産を、M&Aによりそのまま引き継ぐことができることが、買手の大きなメリットです。

他方で、長年店舗を継続していることから、なじみのお客さんや忠誠心のある従業員がいる場合がほとんどでしょう。そのため、やはりオーナーチェンジされた際の関係者への影響は大きくなります。

事前に企業文化を理解すること、従業員の性格やスキルを把握しておくこと、顧客層の分析、譲渡契約書で対応できる点は補填するなどの対策が必要となります。

まとめ

今回は、飲食店業界のM&Aの5つのトレンドの中でも①戦略的売却型、②事業承継型について解説してきました。

本記事でも紹介したように、それぞれのタイプごとに、買手に対するメリットが異なってきます。たとえば、①戦略的売却型であれば「好調な事業を引き継げることができる」、②事業承継型であれば、「ブランドやノウハウを獲得することができる」といった点です。

その他のM&Aトレンドの詳細については、以下のリンクからダウンロード可能な資料「【2023年最新版】2022年の飲食業界のM&Aトレンド」にて解説しておりますので、ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。