M&Aによる成長戦略について
M&Aは、経営の安定化、事業拡大、未開拓分野や新規顧客の開拓、シナジー効果など、目先の利益だけでなく、企業の長期的な成長において有効な手段だといえるでしょう。そのため、最近は中小企業がM&Aを活用するケースが増えてきています。
では、M&Aを用いた成長戦略を行う際は、事前にどんな計画を立てれば良いのでしょうか。
ここからは、戦略立案の流れについて4つ紹介します。
①理想とする成長戦略をイメージする
まずは、自社が今後どのように成長したいか、自らが理想とする成長戦略をイメージしてください。毎年5%の売上高増加で良いのか、それとも毎年50%成長などスピード感をもって成長したいのかによって、成長戦略は変わります。
毎年5%の売上増加は、新規出店などせずとも、顧客単価を上げるだけで達成できるかもしれません。新規出店等のコストもかからず、ローリスクローリターンともいえるでしょう。このような成長戦略が理想的であれば、M&Aは成長戦略としてあまりふさわしくありません。
一方、毎年50%成長を実現させるためには、新規出店数を増やすことや、非連続的な成長実現のためのM&A実施を検討しても良いでしょう。新規出店やM&Aには初期コストが必要であり、ハイリスクハイリターンともいえます。
結論として、自分の理想とする成長戦略がハイリスクハイリターンの方に近いのであれば、成長戦略としてM&Aを積極的に取り入れたいところです。
②M&Aを実施するべきか検討する
M&A実施ですが、買収にはコストがかかります。また、買収した後に経営が上手くいかない場合、「投資コストが回収できない」というリスクもあります。M&Aには「時間を買う」というメリットも含め、M&A実施においては「買収予算」「リスク」「時間」を総合的に鑑みて意思決定する必要があるといえるでしょう。
さらにM&Aの売り案件ですが、いつでも希望通りの条件が揃っているとは限りません。もしも好条件な案件が見つかったとしても、M&Aの基礎知識が全くなければ、検討に時間がかかってしまい競合他社に先を越されてしまうかもしれません。
そのような事態を防ぐためにも、チャンスをつかめるよう常に事前準備をしておくことが大切です。
③自社が成長戦略としてM&Aを活用できる状態にしておく
前述したように、成長戦略としてのM&Aに対する理解度が低い場合、必要な対応が遅くなってしまうケースがあります。
逆にM&Aについて深く理解ができていれば、M&A仲介会社がいくつかの飲食店の売り案件を紹介してきた場合でも、どの案件が自社の成長戦略に結び付くかという判断を早く行うことができるでしょう。
さらに、こういった意思決定の早い買い手企業は、M&A仲介会社のコンサルタントにとっても取り組みやすいため、案件を優先的に紹介してもらいやすくなります。その結果、優良案件を競合他社に奪われてしまうといったケースも起こりづらくなるでしょう。
④PMIを見越した戦略
PMIとは「Post Merger Integration」の略であり、M&Aの実施後にシナジー効果を創出するための統合プロセス全体のことを言います。M&Aによる成長戦略を実現させるためには、PMIを見越した戦略設計が必要不可欠です。
例えば、自社と買収対象の経営方針や企業文化の方向性があまりに異なっていると、期待しているシナジー効果が得られない恐れもあります。たとえば、料理の質を重視している自社と利益だけを考えている買収先、など極端に思想が異なってしまえば、融合していくことは困難でしょう。
そのため、成長戦略のためにM&Aを活用する場合は、将来のPMIを見越した計画を立てておくことが必須だといえるでしょう。
M&A成長戦略実現のためのステップ
M&Aの成長戦略を策定したあとは、その戦略を実行していくことになります。
ここからは、実際のM&A実施の流れについて紹介します。
①初期的検討
M&A仲介会社から案件を紹介してもらい、案件の初期的検討を行います。会社概要や基本的な財務数字、KPI、価格レンジなど限られた情報をもとに更なる検討へ進めるかどうかを検討します。検討の結果、先に進むという判断ができれば次のステップへと進みます。
②デューデリジェンス
初期的検討の後は、更なる検討を進めるためデューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスとは、M&Aを行うにあたって、対象となる飲食店の価値やリスクなどを調査することです。デューデリジェンスは会計、税務、法務、人事、ビジネス、システムなど様々な種類がありますが、案件の規模や質、ビジネス内容に応じて実施するべき内容は異なっています。
この段階で、買収先の経営者とのインタビューなどを実施し、お互いの経営方針やビジョンなどの相互理解を進めておくこともPMIを見据えて重要なポイントの一つです。
③契約書の締結
デューデリジェンスの結果、問題がなければ契約書の締結へと進みます。契約書の内容はM&Aのスキームによっても異なりますが、契約日、譲渡実行日、譲渡金額、表明保証といった事項は必ず記載されます。また、合併や会社分割などのスキームを使う場合は、会社法上の手続となるため登記や債権者への告知など商事法務手続も必要となります。
④契約の実行
契約締結後は、契約実行の日に資金決済し、同時に株式または事業の引き渡しを行います。契約の実行後に本格的なPMIのプロセスがスタートすることになります。
M&Aの戦略立案ならM&A Properties
このように、M&A戦略立案から実行まで数多くのステップがあり、中には大きなリスクも潜んでいます。「専門的な内容すぎてよくわからない」といった方も多いかと思います。
そのような場合は、M&Aの専門家へ相談を依頼しましょう。
専門家であるM&A仲介会社にはいくつかあり、それぞれ費用やサービス内容、セールスポイントなどに違いがあります。M&Aの相談や仲介を依頼する際は、自社の希望にマッチした信頼できるプロフェッショナルを選ぶことが大切です。
当社M&A Propertiesは、飲食業界を中心にこれまでのM&A取扱総額450億円という豊富な実績をもとに、成長戦略としてのM&Aについても的確なアドバイスを行うことが可能です。
それだけでなく、売り手側への打診、資料リストの作成、留意点の洗い出し、精密なデューデリジェンスなど、飲食業界のM&Aに関してトータルなサポートを行うことができるでしょう。
M&A Propertiesの大きな強みとして、創業以来10年間、M&Aと並行して行ってきた不動産仲介事業を掛け合わせることによってできる「アプローチの多面性」や「豊富な外食ネットワーク」などがあります。また、グループ会社で飲食企業を中心とした人材紹介や評価制度構築・運用等を行い、グループ全体として、約4万社の外食企業などへの成長サポートを行っております。
M&Aと飲食業界を熟知した専門コンサルタントが対応させていただきますので、成長戦略としてのM&Aを検討中であればぜひ一度ご相談ください。ご相談はこちら
まとめ
このように、企業の長期的な成長戦略として、M&Aは効果的な手段です。内部資源による成長に限界を感じているのであれば、M&Aによる事業規模拡大も選択肢のひとつだといえるでしょう。
成長戦略を目的としたM&Aを実施する際は、今回記事で紹介したポイントをふまえたうえで戦略立案を行ってみてください。「いつでもM&Aを活用できる状態にしておくこと」や「PMIを見越した戦略」など、入念な事前計画を行うことが、M&Aを成功させるためのカギになります。