【比較】清算(廃業)するならM&Aで事業承継した方が良い5つの理由

少子高齢化が進む日本では、多くの企業が経営者の高齢化や後継者不足により廃業しています。しかし、「できることなら会社を残したい」と考える経営者も多いのではないでしょうか。 清算(廃業)の前にぜひ検討いただきたいのが、M&Aによる事業継承です。他社にとって魅力ある企業であれば、M&Aによる買収で会社や事業を残すことができます。 そこでこの記事では、清算(廃業)とM&Aの違いや、M&Aによる事業承継を選んだ方が良い理由などを紹介します。


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会社の清算とは

会社を廃業する際には、解散と清算を行う必要があります。

解散とは、会社を清算するために、経営活動をやめて会社を消滅させる手続きに入ることをいいます。いわば会社を閉めた状態にすることで、株主総会の決議など会社法の定める所定の事由を経て解散に至ります。

ただし、解散しても、会社はすぐに消滅するわけではありません。会社に残る財産の処分や負債の返済など、会社を消滅させるには清算手続きが必要になります。会社を完全に消滅させるための清算手続きことを清算と呼ぶのです。

清算には大きく分けて「通常清算」「特別清算」のふたつがあります。それぞれの詳細をみていきましょう。

通常清算

一般的に、健全な経営を行っているにも関わらず、経営者が高齢の場合などを理由に会社を閉めるときに用いられるのが「通常清算」です。

通常清算は、解散した会社に残っている借入金や未払金などの債務を、会社の財産で全額支払える場合に行われます。

手続きの流れとして、まず会社の清算人が選任されますが、解散時の取締役を就任させるのが一般的です。清算人は会社の資産である売掛金や在庫、設備や不動産などの固定資産などを現金化し、その資金で債務を返済します。

債務の支払いを終えてもまだ財産が残る場合は、株主に分配され、清算手続きは完了です。

通常清算は債務を完了するための手続きに当たるため、倒産手続きには含まれず、裁判所から監督されることもなく手続きを進められます。

特別清算

通常清算中の会社が資産を現金化しても債務を完済できないと見込まれる場合、あるいは債務超過など会社が経営難に陥っていると考えられる場合、利害関係者の申し立てによって「特別清算」が行われます。

通常清算との違いは、裁判所の監督の下に清算手続きが進められることです。

同じ目的で行われる手続きに破産があります。しかし、破産管財人による厳格な破産手続きとは違い、特別清算の手続きは簡易に素早く進行します。

廃業との違い

清算を検討していると、廃業という言葉がよく使われることに気づくでしょう。

廃業とは簡単にいうと、自主的に事業をやめること全般を指すもので、経営がうまくいっていても選択されることがあります。

つまり、会社をとじる状況によっては通常清算や特別清算も廃業に含まれます。それだけでなく、特別調停や破産などの手続きが含まれることもあります。

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後継者がいないからと清算(廃業)するのはもったいない

現代の日本では、経営自体はうまくいっているのに、後継者がいないことを理由に廃業する会社が増えているとされます。実際、日本の企業における清算(廃業)の現状はどうなっているのでしょうか。

清算(廃業)を検討する前に、まずは日本の会社が置かれている現状を確認しておきます。

代表者の高齢化による休廃業・解散は多い

2019年に行われた帝国データバンクの「休廃業・解散」に関する動向調査によると、企業の
休廃業や解散の合計は2万3,634件で、前年比2.6%と3年ぶりに増えました。そしてこのうち、自主的に経営をやめる「休廃業」は1万2764件と、こちらも7年ぶりに増加しています。

また、休廃業・解散企業の経営者の年齢を見ると、70代が37.6%、60代まで範囲を広げると全体の80%以上にも及んでおり、経営者の高齢化が企業の休廃業や解散に影響していることは明らかです。この傾向は今後も続くことが予想されており、会社を存続させるには業績だけではなく、後継者問題の解決も求められていることがわかります。

参考:帝国データバンク・全国「休廃業・解散」動向調査(2019 年)

業績が良いなら存続を検討すべき

先ほどの帝国データバンクの調査と同年に行われた東京商工リサーチのデータによると、経営者の高齢化を理由に休廃業した会社のうち、約60%は経営上の問題がなく、黒字であったということがわかっています。

つまり、清算(廃業)を検討する会社の中には、継続するだけの魅力ある事業も多く含まれている可能性が高いのです。

2019年に日本政策金融公庫総合研究所が行った「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」でも、廃業を予定している企業について、商品・サービスの独自性があるとの回答が16.0%、売上が増加傾向であるとの回答が5.3%、事業の成長が期待できるとの回答が3.9%もありました。

業績が良く将来性もあるのに清算(廃業)している、あるいはその予定となっているとすれば、日本経済においても大きなダメージです。その原因が後継者難であるなら、清算や廃業で会社を閉じるのではなく、事業を存続できる方法を選択した方が良いのではないでしょうか。

参考:㈱東京商工リサーチ「2019年『休廃業・解散企業』動向調査」

参考:日本政策金融公庫総合研究所・「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」(2019年)

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清算よりM&Aによる事業承継した方が良い5つの理由

後継者が見つからないために清算(廃業)を考えている場合は、M&Aによる事業承継を検討してはどうでしょうか。なぜなら、M&Aには様々なメリットがあるからです。

ここでは、清算よりM&Aによる事業承継した方が良い主な理由を5つ紹介します。

譲渡益を得られる

M&Aによる事業継承を行えば、譲渡する事業の時価に、今後生じると期待される収益などを加味した買収価額をキャッシュで受け取ることができます。買手企業が将来性を感じるほど買収価額は高くなり、より大きな譲渡益を手にすることができるでしょう。

事業譲渡と同時に、経営者のリタイア資金を得られることは、M&Aを選択する大きなメリットです。

清算してしまうと、M&Aのような売買は生じず、行われるのは資産の売却と債務の返済のみです。見込んでいた資産が残るどころか、借入金などによって資産がマイナスになってしまうリスクもあります。

代表者の個人債務保証や担保が外せる

中小企業の多くは、経営者が個人で会社の債務保証や担保提供を行うことが一般的です。会社を清算した場合、資産の処分価格によっては、経営者個人の債務が残り、会社の清算後も個人の債務返済が続く可能性があります。

一方、M&Aによる事業譲渡では、交渉によって、経営者個人の債務保証や担保提供を買手企業に引き継いでもらうことができます。

経営者のセカンドライフを考えると、M&Aによる事業承継のほうが安心感は高いといえるでしょう。

後継者問題が解決する

先述の帝国データバンクの調査などからもわかるように、少子高齢化などの理由とした後継者不足から、清算(廃業)する企業が増えています。言い換えると、後継者さえいれば、今後も存続できた会社は数多く存在するといえるのです。

M&Aなら事業を引き継いでもらえるので、経営者がこれまで築き上げてきた事業やノウハウを後継会社に活用してもらえます。精算ではなくM&Aを選ぶことは、経営者のみならず、日本経済にもメリットになるといえます。

従業員の雇用を守れる

M&Aによる事業承継を行えば、事業に貢献してきた従業員の雇用を守ることができます。

会社を清算する場合、経営者が最も気にかけることが従業員の雇用ではないでしょうか。会社を清算すると従業員を解雇することになるため、清算に踏み出せない経営者もいるかもしれません。

しかし、従業員の雇用を守ることを条件にM&Aを実施すれば、その心配もなくなります。

取引先や顧客を守れる

会社を清算する場合、従業員の他にも経営者が気にかけるべき対象があります。会社の取引先と顧客です。

例えば飲食店の場合、会社を清算してしまうと食材の仕入れ先は取引先をひとつなくすことになります。また、店を利用してきた顧客が食事できなくなるだけではなく、店を失ったことによって地域経済に与える影響も無視できません。

しかしM&Aを利用すれば、後継会社が事業を引き継ぐため、飲食店をそのまま続けられます。そのため、仕入れ先やお店のファン、地域経済を守ることができるのです。

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だれに事業承継する?売却先を見つける方法

清算ではなくM&Aを考えたときに問題となるのが、どの会社に事業承継するのかということです。

M&Aの相手企業を見つけられない、従業員を安心して任せられる企業の探し方がわからないなど、いざM&Aを実施しようと思っても、ハードルの高さに躊躇する経営者も多いでしょう。

そこで利用したいのがM&Aの専門家です。M&A仲介会社など、専門家であればM&Aにまつわる高い専門知識や豊富な経験があるので、あなたの会社や店に合った相手企業を探すことができます。

飲食店専門のM&Aや事業承継を手がけるM&A Propertiesなら、相手企業の選定だけでなく、事業承継のあらゆる問題の解決、不安や悩みに対するサポートが可能です。M&Aによる事業検証をお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

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まとめ

経営者の高齢化を理由に、清算(廃業)を考える会社は少なくありません。しかし、会社に他社が求めるような魅力があり、将来性があると感じているなら、清算を考える前に、まずはM&Aによる事業承継を考えてはいかがでしょうか。

事業が残れば、従業員の雇用はもちろん、取引先や顧客、会社が培ってきた技術やノウハウを守ることができます。

M&Aによる事業承継については、M&A仲介会社などの知識や経験が豊富な専門家にまず相談してみましょう。