【企業の民事再生】連帯保証人の債務を免除する方法

「会社の経営状態が悪化しているけれど、倒産はどうしても避けたい」というのは、経営者ならば誰もが思うことでしょう。中には「民事再生」という手法を使って、立て直しを図りたいと考える方もいるのではないでしょうか。 中小企業が資金調達を行うとき、経営者が債務の連帯保証人になるケースはよくあります。民事再生で経営を立て直そうとしても、この連帯保証が経営者の足かせになるかもしれないことは、想像に難くありません。 そこで今回は、民事再生によって会社の再生を行う場合、個人の債務は免除されるのか否かについて解説します。


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経営悪化した企業を再建する「民事再生」とは

民事再生とは、「企業が経営難に陥って債務の返済ができなくなった際に、債権者との同意の上で企業の再生を行う手続き」のことを言います。

一般的に、経営を継続することが難しくなった時に考えられる方法として、「破産」が挙げられますが、こちらは会社を畳むことを前提としています。

一方、民事再生は「会社をもう一度再建する」ということを目標としており、破産とは正反対の手続きであると言えます。

民事再生手続きでは利害関係者との調整が必要

民事再生を行う上で非常に重要になるのは、銀行などの金融機関をはじめとした「債権者の同意」です。

会社に対して債権を持っている債権者(金融機関や取引先など)の立場からすれば、債権を回収できるかどうかに対してリスクを背負うことになります。
そのため、「再生計画案」の採択を取り付けるには、債権者の多数決(頭数及び債権の額の過半数)による決議が必要とされています。

民事再生手続きでは経営陣が続役する

民事再生手続きの大きな特徴は、今の経営陣が引き続き業務を行うことが挙げられます。

ただし、「会社を民事再生に追い込んだのは現経営陣だ」というマイナスの印象を持たれていることもあるため、デメリットとして捉えられる場合もあります。

民事再生手続きの流れ

一般的な民事再生の手続きを、東京地方裁判所のスケジュールに則り説明します。なお、括弧内の数字は東京地方裁判所が示す、申し立て日からの期間を表しています。

1.弁護士に依頼をして民事再生の申し立てを行う(0日)
2.裁判所によって監督委員が選任され、裁判所の指示を受ける(0日)
3.民事再生手続きが開始される(1週間後)
4.資産や負債などの財務状況を報告する(1カ月後)
5.再生計画を作り提出する(4カ月後)
6.認可後に再生計画を実行していく(5~6カ月後)

一般的には、会社の業務を続けながら「再生計画案」を作成し、計画を同時並行で実行へと移すというのが手続きの流れになります。

裁判所の認可が下りるまでの期間は5~6カ月程であり、他の再建方法と比較しても素早い対応が可能です。

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民事再生をすると連帯保証人の債務はどうなるのか

日本のほとんどの中小企業の経営者は、資金を調達した金融機関などに対して連帯保証人となっています。
そのため、事業の業績が悪化したことを受けて会社を再生させると決断しても、連帯保証が外れなければ再生後も債務を引き続き背負うことになります。

ここでは、民事再生によって連帯保証がどのように扱われるのかを見ていきましょう。

連帯保証人の債務は免除されない

民事再生を行った際、会社の債務は再生計画に従って免除されることが多いですが、個人保証による債務は免除されません。

債権者は、「会社が借金を返済できなかったときに備えて、個人に連帯保証をしてもらおう」と考えて、貸し付けを行う際に個人に連帯保証人となってもらいます。
そのため、「民事再生を行ったとしても個人の債務は免除されない」というのは、仕方のないことであるとも言えます。

しかし、それでは中小企業の再生を妨げてしまう危険があるため、経営者個人を保護するための策として「経営者保証に関するガイドライン」という制度が用意されているのです。

「経営者保証に関するガイドライン」による債務の整理を行う

「経営者保証に関するガイドライン」とは、連帯保証人となっている経営者本人やその家族の生活を守るために策定されたガイドラインのことを言います。

前述の通り、中小企業では経営者個人やその家族が会社の債務の連帯保証人であることが一般的です。
そのため、経営者は大きな資金を調達して事業を立ち上げることに躊躇してしまったり、後継者が事業継承を拒んだりするといった問題が出てきます。

このような中小企業の活力を削ぐ問題を解決するために、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会によって「経営者保証に関するガイドライン」が策定されました。

下記の概要をはじめ、具体的な内容は中小企業庁のホームページに掲載されています。

1.法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
2.多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて約100~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
3.保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること

などの経営者個人を保護する制度が整いました。

出典:「経営者保証に関するガイドライン」(中小企業庁)

詳しくは、「経営者保証に関するガイドライン」について記載した以下の記事を御覧ください。
(記事へのリンク)

株式譲渡では連帯保証を外すことができる!?

M&Aの中でも、株式譲渡による方法なら連帯保証を外せるケースがあります。株式譲渡によるM&Aの場合、経営者の持つ経営権を買手企業に売り渡します。
そのため、法人格そのものを譲渡することとなり、その会社の持つ負債も買手企業がそのまま引き継ぐことになります。

通常、個人の連帯保証についても買手企業が引き継がせますが、その場合は別途の手続きが必要です。代表者の変更登記と並行して、新たな経営者又は親会社など連帯保証人とする書き換えの手続きをしなければなりません。

株式譲渡契約を締結する段階から、売り手企業と買手企業が一緒になって金融機関に連帯保証解除等の条件と交渉を行い、株式譲渡が行われると同時に連帯保証人を変更するか、連帯保証の対象となる借入を一括で返済することが一般的です。

しかし、スポンサーとなる買収企業にとっては債務を引き継ぐという点で大きなリスクを背負うことになります。そのため、候補となるスポンサーとなる買収企業を見つけることは簡単なことではない、という点は理解をしておかなければなりません。

事業譲渡では連帯保証は外せない

一方、事業譲渡によるM&Aの場合、個人の連帯保証を外すことはできません。
なぜなら、事業譲渡の場合はある特定の事業を譲渡するのであって、法人格全てを譲渡するわけではないためです。

法人格を譲渡していないということは、法人が背負っている債務は買手企業には引き継がれず、個人の連帯保証を引き継ぐこともできないということです。

この場合、事業譲渡によって得た資金から経営者本人が返済を行うことになります。

買収企業をお探しなら、専門家に相談しよう

これまでのことから、株式譲渡によるM&Aであれば個人の連帯保証を受け渡すことが可能です。

しかし、先述の通り、スポンサーとなる買収企業を探すのは困難でしょう。また、個人の連帯保証を解除するには複雑な手続きも必要です。まずは、M&Aアドバイザーに相談することを勧めます。

弊社 M&A Properties には、4万社に及ぶグループ顧客ネットワークを生かした幅広い情報収集能力やコンタクト能力があります。そのため、今回解説したようなM&Aなどの高難易度のM&A案件も成約に導くことが可能です。

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まとめ

多くの中小企業の経営者が個人で連帯保証を行っている中、再生手続きによってその連帯保証を外せるか否かは非常に重要な問題です。

連帯保証を外すためには、M&Aを検討することをおすすめします。しかし、各種手続きは複雑なため困難なことが多く、注意が必要です。まずは、M&Aアドバイザリーに相談してみてはいかがでしょうか。