セットバックとは、英語の「setback」で後退を意味しており、不動産業界や建築業界では、敷地や境界線より建造物を後退させることを指しています。
セットバックには2つの意味があります。
1.建築物の上部を下部よりも後退させることで、外観が階段のようになっているもの。
建築基準法上の道路斜線制限などにより、道路や隣地の採光や通風を確保するために用いられています。
道路境界線や隣地境界線をセットバックすることで高さ制限を緩和することが出来ます。
2.前面道路の道幅確保のため、敷地や道路の境界線から後退して建物を建てること。
建築基準法では、原則として幅員が4メートル以上無いと道路として認められませんが、4メートル未満でも、建築基準法施行前から使われていた既存道路で、かつ特定行政庁が道路として指定したものは道路と見なされており、一般的に「2項道路」、あるいは、みなし道路と呼ばれています。
敷地前面に接する道路がこの2項道路(みなし道路)の場合に、道路の中心線から2メートルの線まで道路の境界線を後退させる事をセットバックと呼んでいます。
なお、2項道路を挟んで反対側が崖地や川、線路などのときは、崖地側の道路境界線から4メートルの位置まで後退させることになります。
セットバックした部分は道路と見なされるので、建物はもちろん塀や門、擁壁も建築することが出来ず、私道となることから「私道負担」と呼ばれることもあります。
セットバックしている店舗は、通行人から見えづらく、また入りづらい印象も与えますので、その幅に応じて、看板やPOP、商品などを置き、セットバック感を感じさせないような工夫が必要となります。