M&Aの3つのタイプについて
・水平型M&A
・垂直型M&A
・新規型M&A
この項では、それぞれのタイプを詳細に解説します。
水平型M&A
水平型M&Aは、同業他社を買収するM&Aです。銀行、コンビニ、ドラッグストアの統合がこのタイプに該当し、「スケールメリットの享受」と呼ばれることもあります。同業他社同士で統合が進めば市場規模の拡大ができ、それによるスケールメリットも得られるからです。
このタイプでは業界の市場規模拡大を狙う会社同士のM&Aが多く、都市銀行が統合した後に誕生したメガバンクは、この水平型M&Aを経て誕生しています。
ただし、市場規模拡大だけが全ての目的ではありません。業界団体での付き合いの延長線上で「水平型M&A」が遂行される場合もあります。
外食産業では、「甘太郎」「牛角」「かっぱ寿司」などを運営する㈱コロワイドや、「すき家」「ココス」「ビッグボーイ」などを運営する㈱ゼンショーホールディングスなどが、M&Aに積極的な企業として挙げられます。
異なる業態の飲食店を買収しながら、幅広い顧客層を取り込み、スケールメリットの享受を図っています。
垂直型M&A
垂直型M&Aでは、バリューチェーンの強化・統合で行われるM&Aです。代表的な例を挙げると、自動車メーカーが部品メーカーを買収する場合が該当します。垂直型M&Aの成立により自動車メーカーは既存製品よりも、自由度の高い製品製造に着手ができるでしょう。
他社と差別化をする戦略としては効果的であり、強固な経営基盤を形成するための手段のひとつとなっています。
外食産業では、「まいどおおきに食堂」などを運営する㈱フジオフードシステムは、明太子製造大手の㈱博多ふくいちと、資本・業務提携を行いました。
グループ内店舗でのメニュー拡充や商品開発を共同して行うことで、バリューチェーンの強化を図っています。
新規型M&A
新規分野に参入するM&Aは、世間から注目を浴びるケースがとても多いといえます。その最たる例が、プロ球団買収を試みた楽天とライブドアです。
新規型M&Aは、群衆の期待を一身に背負うと同時に、世間から反発される状況も想定しなくてはなりません。ライブドアは失敗に終わりましたが、楽天は新規型M&Aを成功させ、現在も続くプロ球団「楽天ゴールデンイーグルス」のオーナーとなっています。
新規型M&Aは、異業種へ参入する手はずとして実施されるケースが多く、抵抗感が生まれやすいM&Aでもあります。買収される側の企業規模が大きければ大きいほど反発は強くなりやすく、失敗する確率も高まります。
外食産業では、「わらやき屋」などを運営する㈱DDホールディングス(旧:ダイヤモンドダイニング)が、「8HOTEL」を始め湘南エリア・鎌倉エリアでホテル事業等を運営する湘南レーベル株式会社を買収しました。飲食業からホテル業への参入ということで注目を集めています。
失敗例はほかにもあります。ライブドアやソフトバンクは過去にテレビ局の買収を試みましたが、こちらも反発が大きく交渉が難航した後に、買収を失敗しました。
M&Aで買収!タイプ別スキーム
次に、タイプ型スキームを学んでいきましょう。
M&Aには、以下の3つの方法があります。
・株式取得
・事業譲渡
・会社分割
これらはさらにタイプを細分化できるため、買収の種類は多種多様です。
株式取得
株式取得は3つに分類され、「株式譲渡」「交換・移転」「第三者割当増資」のいずれかの手法を用いて行われます。
「株式譲渡」を行った際は、表面的な変化はありません。親会社が子会社を切り離すケースに用いられる場合が一般的です。
「交換・移転」は、売り手側企業の発行済み株式全てを、買い手側の企業に取得させることで、親会社・子会社の関係を成立させるものです。
その際既存の会社に親会社として株式を取得させるのが「株式交換」です。株式交換では取得の対価として、親会社が発行する株式を交付することが原則ですが、現金を対価とすることもできます。
一方で新たに設立する会社に親会社として株式を取得させるのが「株式移転」です。
最後の「第三者割当増資」は、新株を譲り渡すことで資金調達を行う方法です。譲り受ける株式の発行数・持ち株比率によっては、経営権の獲得が可能でしょう。
事業譲渡
会社の事業を、第三者に譲渡(売却)することを「事業譲渡」と呼びます。その範囲は多岐にわたり、財産、債務、ノウハウ、ブランド、取引先など、あらゆる分野が対象です。
買収した際に法人を引き継ぐ必要がないため、特定した資産負債以外の負債を引き継がなくて良いことが最大のメリットでしょう。
会社分割
「会社分割」は、一つの事業を別の法人に移管(分割)する方法です。
会社分割は、経営効率を高める手法として有効といえます。会社が特定の事業に対して、所有している権利義務の全て、もしくは一部を他の会社に承継させて会社分割を進めていきます。
具体的な方法は、権利義務をすでにある会社に引き継がせる「吸収分割」か、新たに設立した会社を引き継がせる「新設分割」のいずれかを選択することになります。その引き継ぐ対価を分割会社が受け取るか、分割会社の株主が受け取るかによって、さらに細かく分類されます。すなわち、会社分割には4つの類型が存在しているといえるでしょう。
M&A仲介会社のタイプ別選び方
ここまで解説したように、M&Aは専門的な知識が必要となる状況が多く、知識が乏しいと選択や判断に悩んだり、失敗したりしやすいでしょう。そのため、失敗を回避し事業を拡大していくにはM&A仲介会社の利用がおすすめです。
専門家にサポートをしてもらうことで、M&A成功の確率が格段に上がります。ただし、M&A仲介会社にもタイプがあります。どのようなM&Aを求めるによって、仲介会社の選択も変わってしまうでしょう。
この項では、仲介会社のタイプをくわしく説明していきます。
【タイプ】アドバイザリー型
「アドバイザリー型」の特長は、M&A以外にもさまざまな相談に応じてくれる点です。買収の段階に応じて、専門家の深い知識をアドバイスしてもらえるでしょう。
報酬は、売り手・買い手のどちらか一方のみから受け取ります。そのため、依頼者の利益が最大化しやすいメリットがあります。
【タイプ】仲介型
「仲介型」の特長は、M&Aに関する情報に特化しているため、情報収集を第一に求める場合、円滑に話が進みやすいという点です。
売り手と買い手、その双方と綿密にやり取りを行う仲介型は、情報の提供だけでなく、どちらの利益も最大化できるような調整を請け負っています。仲介型は案件のプロセスを短期化させることにも長けています。迅速なM&Aを望む場合は、仲介型を選ぶと良いでしょう。
【選び方】飲食業界に強い仲介会社を利用する
飲食業界への参入を考えている場合は、いくつか注意が必要です。
飲食業界は変化の波が激しく、難易度が非常に高い業界です。くわえて、飲食業には「賃貸借契約」「立地・商圏調査」などの専門的な知識や、豊富な情報量が必要となるでしょう。
そのような知識やノウハウがない状態で、M&Aで飲食業界に参入しようと考えているのであれば、知見や実績のある仲介会社の利用が成功への近道です。
【選び方】飲食業界に特化したM&A仲介会社ならM&A Properties
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また、今まで蓄積されたコンタクト能力を活かしてM&Aの交渉をスムーズに進めることができます。専門知識が豊富なコンサルタントが、M&Aの初期検討から最終合意までしっかりとサポートするので、安心です。
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まとめ
M&Aのタイプは「水平型M&A」「垂直型M&A」「新規型M&A」の3つに分類できます。
各タイプの特長をくわしく把握しておくことで、M&Aを実行する企業の目的を知ることができるでしょう。それと同時に、業界動向の分析もできるようになります。
また、タイプ型スキームには「株式取得」「事業譲渡」「会社分割」の3つがあることも紹介しました。細かなスキームまで含めると、さらに複数の選択肢があります。
M&Aは仕組み自体が複雑で難解です。間違いなく成功させるためには、専門家にサポートを依頼するのが最も確実な方法でしょう。
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