飲食店を借りるのに必要な初期費用

飲食店を借りるのに必要な初期費用

自宅を借りる場合には敷金が必要ですが、事務所や店舗の場合は敷金ではなく保証金というものが必要になります。飲食店を借りる場合はこの保証金が家賃の10ヶ月分、大きなビルでは20ヶ月分もの額になります。


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アパートやマンションを借りるのに必要な費用についてはご存知かと思いますが、飲食店を借りる場合に同じ感覚でいるとちょっと驚くことになります。違いについて説明しましょう。

自宅を借りる場合には敷金が必要ですが、事務所や店舗の場合は敷金ではなく保証金というものが必要になります。飲食店を借りる場合はこの保証金が家賃の10ヶ月分、大きなビルでは20ヶ月分もの額になります。

自宅を借りる場合の例

敷金2ヶ月 礼金1ヶ月 仲介手数料1ヶ月

店舗を借りる場合の例

保証金10ヶ月 仲介手数料1ヶ月

保証金が高いのは何故?

では、なぜこんなに高い保証金を預けなければならないのでしょうか。

自宅の場合には、もし借りている人が夜逃げなどをしてしまった場合のリスクとして、清掃をして次の人に貸せるまでの間に掛かる期間(清掃費+1ヶ月分の空き)の損失を計算して家主がこれを先に預かっておくシステムになっています。

店舗の場合にこれと違うのは、そもそも店舗は「スケルトン」といって、床も壁も無い状態で貸し出されるのが普通なためです。入居者は、店舗を借りた後に、壁や床、キッチンなどを独自に工事して飲食店をオープンします。もし借りている人が夜逃げなどをしてしまった場合、家主は看板などを取り除くだけではなく、工事された床や天井までをも元に戻さなければ次の人に貸すことができません。その分、保証金は高くなっているのです。

特に飲食店の場合は事務所や物販の店舗に比べて内装工事が特別ですし、近隣とのトラブルや火事などの事故率も高いので保証金を値引きしてもらえる可能性は低いようです。

居抜き物件の保証金は安くなるか?

みなさんは「スケルトン」ではなく、最初から床や壁、出来ればキッチンなどが用意されている物件を探しているかもしれません。この場合の保証金はどうなるのでしょうか。

借りる時点で内装やキッチンなどが用意されている店舗を「居抜き」といいます。居抜き物件というのは、前の借り主が、本来はスケルトンに戻さなければならないところを、次の借り手が「このままでいい」と言ってくれた場合に限って現状復帰を免除されているのです。うまく居抜きでの契約が成立すれば、前の借り主は工事費を負担せずに済みますし、次に借りるあなたも工事費の負担が軽くなりますので、お互いメリットがあります。

しかし、居抜き物件で借りたからといって、あなたがスケルトンに戻さなくて良いわけではありません。次の借り手が居抜きを望んでいる人でなければ、あなたは現状復帰の費用を支払う必要があります。ちなみに次の居抜きの借り手は、あなたが家賃を払っている期間内に探さなければなりません。

このため、居抜きだからといって保証金が安くなるわけではないのです。

工事期間やフリーレントについても調べておこう

もうひとつ、自宅を借りる場合よりも多く見込んでおかなければならない費用があります。それは、店舗を借りてから実際にオープンするまでには、工事などに2〜3ヶ月はかかるということです。その間の家賃も負担しなければなりません。

居抜き物件であれば工事が少しで済みますので、この期間が短くなります。また、「フリーレント」というものもあります。これは、借りてもらいやすくするために、家主が借りてからも家賃を支払わなくて良い期間を設定するものです。例えばフリーレント1ヶ月とあれば、最初の1ヶ月は家賃が免除されます。

結論として、飲食店を借りる場合には家賃の14ヶ月分ぐらいの費用がかかります。これを安くしたいなら「居抜き」と「フリーレント」についてよく調べてみましょう。