GYRO HOLDINGS 株式会社 代表取締役 根本寿一氏×株式会社ヴィクセス 代表取締役 中元孝太氏インタビュー(後編) M&Aが生む業態の新たな可能性への挑戦

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次の ESOLA の具体的な展開は考えていらっしゃいますか?

ジョインしたらすぐに動こうと決めていた案件があり、それが動き出しています。乞うご期待です。

ESOLA は本当に可能性がありますよね。昼も夜も、それこそフードコートにも展開できます。全然違う商圏でも、良い意味でいろいろ遊べるブランドだと思っています。

今後地方に展開していくとなると、視察が大変だと思います。その役割は中元さんが担うのでしょうか?

それは GYRO が行います。GYRO では今年から店舗開発チームを組織化しました。そのメンバーが、ESOLA は中元さんと私のところに案件を持ってくるというフローを挟んでから、実際に現地に足を運びます。

首都圏から地方の物件を取るのは難しいといわれますが、何か戦略は?

基本的には不動産関係の知り合い等を頼りますが、その都度地域にあった出店の仕方は考えています。秋には力のあるデベロッパーが手掛けた施設に ESOLA を出店し、そこの中でしっかり売れてくれると、ESOLA というブランドがその地域で「売れる店」として有名になりますよね。そうしたらその評判を武器に不動産を紹介してもらう、というような展開は期待したいですね。

そうなると、その店舗の役割はかなり重要ですね。

そうですね。影響力はかなり期待できますので、東側のフラッグシップになると思いますよ。

そもそも、自社だけではこの秋の店舗も出店できていなかったと思います。そういう意味でもESOLA が今後広がっていく可能性を感じていますね。

出店を拡大していく場合に、どの会社も人材確保には頭を悩ませていますが、GYRO HOLDINGS はどうお考えですか?

ここ 5 年ほどの間で社員を雇っても継続しないケースが増えているような体感があり、社員に依存する仕組みからは脱却する必要があると考えています。具体的には、アルバイトやパートだけでも利益を残せる仕組み作りです。働き方が多様化している中で生き残るために、策を講じていく必要があると考えます。例えば、アルバイト店長の採用などですね。課題も多いですが、僕は社員依存からの脱却を目指していろいろチャレンジしていくつもりです。

人材の問題は立地によりますね。都心部になれば時給も上がっていますし、そもそもアルバイトを取ること自体が難しく、社員だけで回さないといけない店もあります。そうした状況も含めて、地方にチャンスを見出したいとは思っています。

特に地方の ESOLA のメンバーの定着率は高く、長く働いてくれる人も多いんです。地域の風土もあるでしょうが、店が好き、仲間が好きで働いている人が大勢いますので、そういう文化を大切にすることで、勝手に人が集まりやすい状態を作れるのではと期待しています。その上で社員になりたい人、独立したい人の選択肢を狭めないようにはしたいですね。経営の自由度と、働く側の自由度を大事にしていくことが大切だと思います。

今後のヴィクセスについてはどのような展望をお持ちですか?

ヴィクセスにおいては ESOLA という主力事業を売却した形になりますので、まずはそこを補えるような成長を目指していきたいですね。今のメインは肉流通センターという焼肉業態で、7 月で20 店舗になりました。短期的には、来年の 2024 年には 50 店舗まで伸ばしていくのが目標です。

焼肉の市場は明らかにレッドオーシャンですが、その中でも特に首都圏の大きな箱が飽和気味です。かつ、僕はそういった店舗の展開にあまり魅力を感じておらず、安くて美味しい肉を食べられる小型店が狙い目だと思っています。僕の地元である狛江に出店した店は 12 坪程度しかありませんが、ベースで 400 万円を売っています。そういう規模の店を、誰もやらないところで成立させていけるようなビジネスモデルの構築を次の展開にしていきます。

ありがとうございます。GYRO HOLDINGS は様々な業態を保有していますが、先ほどお話にも合ったように環境変化に合わせた対策というものは何かありますか?

ありきたりではありますが、相対的に居酒屋から食事需要が拡大していくという傾向はあると思います。しかし、飲食業界のビジネスモデル上、食とお酒というのは切っても切れない関係にあることも事実です。いつ、誰と、何を食べるのか、という需要に対して、何を提供できるのか、そこが問題ですね。場合によって地方は移動型のレストランという方法もあるのではと。

今後 ESOLA を軸として地方に拡大していきたいと思っていますが、加盟店が地場で基盤を作っていくことを考えると、単一ブランドだけでは限界があります。そこに我々が様々なブランドを提供していくことで、その加盟店は複数のブランドを近い立地でも展開していける。そんな未来を予想しています。とはいえ青天井に投資できるという訳ではないので、いかに低投資でできるか、というのは永遠の宿題ですね。

GYRO HOLDINGS は ESOLA 以外にもいくつかの業態を買われたと思います。

はい。ヴィクセスの案件と同時に、M&A Properties の仲介により、「yaesu 海老 talian バルルクア大阪梅田店」「かきカツオ LINKS UMEDA」「焼はまぐり standLINKS UMEDA」「幸の鳥」の関西 4 店舗の譲受を実施しています。

すごく積極的に取り組みされていますが、今後の M&A の戦略はどのようにお考えでしょうか。物流や仕入れ、システムなどの基盤になるような会社も気になっていたようですが。

回収を含めての年限やリターンの割合はもちろん考えますが、M&A の相手は我々の強みを伸ばし、弱みを補完できるという先という軸で考えています。例えば、物流を上手く取り入れている飲食企業のイメージですね。本業は卸で、店舗をいくつか持っているというような企業です。

常々日本全国展開したいと思っていますので、北海道から沖縄まで、47 都道府県どこにでも我々のブランドが何かしら展開している状態にはしたいですね。

飲食だけでなく、「食」という大きなキーワードで見られているんですね。

店舗数を含めた規模の拡大をするために M&A したいという狙いももちろんありますが、過去から脈々と引き継がれてきた老舗ブランドを M&A し、現在に合うようにアップデートしてさらに飛躍させていく。

それは外食に留まらず畜産業や水産業のような生産側にも当てはまることなので、GYRO がファンド傘下に入ったことによる優位性を活かして、食文化を支える手伝いをするという意味での M&A も考えていますし今がチャンスだと思っています。

そうすると、GYRO HOLDINGS が食品メーカーや地方の水産業者を買った、というニュースも聞こえてきそうですね。

大いにあり得ます。地方に行くほど、一次産業の後継者がいないといった問題が色濃くなっていることがあります。我々が支援することでインフラを強化し、そこからまた新しいブランドが生まれてくるような可能性を見出していきたいですね。

加盟店を募集したり、業務委託を募集したりしようとしても、結局物流というものが重要になります。それも、ただ大規模にやればいいという訳ではなく「地場」を大切に考えています。

具体的に地方はどの当たりの地域を考えていますか?

今回の ESOLA の事業戦略は、大阪から四国、北九州までをターゲットにすることを予定しています。インバウンドや万博のこともありますからね。東側は仙台周辺まででしょうか。

M&A したいと考えている外食の業態はありますか?

業態で言うと、洋食はさらに強化したいですね。あとはステーキ。焼肉も、もう少し単価を下げた大衆焼肉なんかもいいですね。ただし、あまり枠を狭めないようある程度柔軟に考えています。とはいえ、肉業態を増やすためには、物流のインフラや仕入れの強化、システムの構築が必要です。そのため飲食の業態だけでなく、経営上の基盤を持っている会社を M&A していきたいと思っています。これは時間を買うような感覚で、経営基盤となる企業 M&A をし、その上に我々が作るブランドや新たに仲間になってくれるブランドを乗せていくイメージをしています。

海外展開はどのように考えられていますか?

アジアだと、インドネシア、マレーシアなどでの展開を考えています。その時にパートナーシップを結ぶのか、M&A をするのか、方法は場合によりますが、自分たちでゼロからやるのではなく、実績のある先と組みたいですね。その先には、アメリカもヨーロッパも展望として持っています。やはり海外展開を既にされている企業と手を組むのが成功に近いと考えます。

可能性が広がりますね。本日はお話ありがとうございました。