善管注意義務とは

善管注意義務とは、「善良なる管理者の注意義務」の略で、契約した時から買主に引き渡しをするまでの間、その対象の特定物を保存しなければならないという義務のことです。


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善管注意義務とは、「善良なる管理者の注意義務」の略で、民法第400条の条文から由来しています。

民法第400条は「債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。」と定められています。

この「特定物」とは、物の個性に着目して契約等の取引対象となっている物です。
通常は、不動産、美術品、中古車などがその対象となります。そしてこれらの特定物に該当する不動産や美術品や中古車の売り主には、契約した時から買主に引き渡しをするまでの間、「契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって」、その対象の特定物を保存しなければならないという義務が定められており、これを「善良なる管理者の注意義務」=「善管注意義務」と呼んでいます。

「善良なる管理者の注意義務」とは、「業務を委任された人の職業や社会的・経済的な地位や能力から考えて、通常期待される程度の注意義務」を意味しています。
もし特定物が毀損等した場合には、債務不履行責任(損害賠償責任)を負うことになります。

また、商法593条にも善管注意義務について「商人がその営業の範囲内において寄託を受けたときは、報酬を受けなくとも、善良な管理者の注意をしなければならない。」と定められています。
例えば、飲食店のように人が集まる施設において、店側がお客様から預かった寄託物について、店舗は善管注意義務を負うこととなり、さらに商法594条では、寄託物を紛失したり壊したりした場合には、不可抗力によることを証明することができない限り、損害賠償責任を免れることができない、と定められています。