飲食店オーナーが知っておくべきM&Aの注意点

飲食店が行う事業拡大の方法として、「M&Aによる新店舗出店」という選択肢があります。ゼロからお店を作るのではなく、既に営業をしているお店をM&Aで買収し、設備やノウハウ、人材等を獲得して新店舗として活用する方法です。 しかし飲食店のM&Aにも失敗のリスクは当然あるので、実施は慎重に行わなくてはなりません。 この記事では、飲食店オーナーが知っておくべきM&Aの注意点を紹介します。新店舗出店を成功させるためにも、M&Aによる事業拡大のリスクやポイントについて、基本的な知識をおさえておきましょう。


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M&A実施前における買い手側の注意点

飲食店のM&Aですが、準備の段階からいくつか注意すべきことがあります。これらの注意点をふまえつつ、実施前に入念な計画と調査を行うことがM&A成功の鍵だといえるでしょう。

この項では、「M&A実施前に買い手側が知っておくべき注意点」について代表的な3つを紹介します。

①正しくターゲットが選定できているか

M&Aにおける重要なポイントのひとつに「買い手側と売り手側の希望がマッチしているか」という点があります。M&A実施前にターゲット選定が上手くいっていないと、失敗する可能性が高くなってしまいます。

双方の希望がマッチしていないと、場合によっては2つの会社の経営陣による主導権争いで社内分裂に発展してしまったり、キーマンがM&A後の社風について行けず退職してしまったりする可能性があるのです。M&A実施後のトラブルを避けるためにも、ターゲット選定は慎重に行わなくてはなりません。

それを踏まえた上で自社の目的や希望を明確にし、ターゲット選びをしていくのが基本になります。

②過度なシナジー効果を期待しない

M&Aを実施する際は、大きなメリットのひとつである「シナジー効果」を期待してしまいがちです。しかしどれだけ検討や調査を重ねたとしても、期待通りのシナジー効果を狙うのは容易なことではありません。むしろシナジー効果を過度に期待した結果、投資の費用対効果が低くなってしまうという失敗ケースもあるので、過信は禁物です。

より良いシナジー効果を生むためには、「既存のビジネスが持っている強みを中心に考え、それを損なわず、伸長させるためにM&Aを実施する」という視点を持つことが大切です

飲食業界におけるシナジー効果の好例として「スケールメリット」があります。スケールメリットとは、事業規模を拡大したことによって得られる、さまざまなプラス効果のことです。

飲食店がM&Aにより事業規模を拡大した場合、それに合わせて調達する食材のボリュームも増やす必要があります。それにより、仕入先に対して大量購入による値引き交渉が行いやすくなるので、食材の単価を下げることも可能になるでしょう。こういったケースがスケールメリットの一例になります。このように、コスト面のシナジー効果が期待できるのです。

ただし、収益面でプラスの効果を期待できるかは未知数なところがあります。M&Aをしただけで即座に売上アップするわけではありません。商売は予想通りに行かないことが多いからです。コストシナジーは計画しやすいという側面がありますが、収益シナジーは実現しにくいといえます。
このように、M&A実施の際は過度なシナジー効果は期待せず、スケールメリットなども検討しながら無理のない計画を立てていくことが大切だといえるでしょう。

③リスクをきちんと把握しているか

買収対象となる店舗が何らかの経営リスクを抱えている場合、M&Aが失敗する可能性が高くなります。把握しておくべき代表的なリスクには、簿外債務や保証債務の有無、法やコンプライアンス、税に関する問題、未払残業等の労務リスクなどがあります。

買収対象の債務状況は貸借対照表帳から把握することができます。しかし買収対象となる飲食店の中には、帳簿類に記載されていない簿外債務を抱えていることもあるので、注意しなくてはなりません。よくあるのが、関連他社の連帯保証人として保証債務を負っているというケースです。M&A実施後にこういった債務が発覚した場合、想定外の損失が発生してしまうようになります。

また、M&A対象の会社が違法な経営や、違法な節税をしてしまっていることもあります。そうとは知らずにM&Aを実施してしまうと、買い手側企業は悪い要素をそのまま受け継ぐこととなり、こちらも思わぬトラブルへ発展する可能性が高くなってしまうでしょう。

未払残業等にも注意が必要です。残業代が支払われておらず、未払残業代というマイナスや社員の不満を会社内に抱えている場合、M&A後に社員との間でトラブルになる可能性があります。

こういったリスクを抱え込まないためにも、M&A実施の前には、買収対象の抱えている経営リスクについて入念に確認しておくことが重要となります。

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M&Aを成功させるためのポイント

ここまでは、M&A実施の注意点について紹介しました。
では、注意点を踏まえたうえでM&Aを成功させるには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。

ここからは、飲食店がM&Aを成功させるためのポイントについて、3つ紹介していきます。

①実績のあるM&Aコンサルタントに依頼する

M&Aで失敗しないためには、腕の良いM&Aコンサルタントにサポートを依頼することが大切です。
過去の実績や得意分野など、複数のコンサルタントを比較するのが良いでしょう。特に飲食店のM&Aの場合、「実際に飲食店のM&Aを担当した実績があるか」や「業界の特色をおさえたサポートをしてくれるか」といった部分も重要なポイントです。

当社M&A Propertiesも、飲食業界に強いM&Aコンサルタント会社です。創業以来、飲食業におけるM&A取り扱い総額は10年間で450億円という豊富な実績があります。売り手側への打診、資料リストの作成、精密なデューデリジェンスなど、飲食店のM&Aに関することならトータルでサポートします。
経験豊富なコンサルタントは飲食業界特有のポイントについて熟知しているので、初めてのM&Aもリスクを抑えて行うことができるでしょう。

②買収先の企業文化を理解する

買収対象の飲食店には、これまで培ってきた歴史や企業文化があります。それらを理解することも、M&A成功のための大切なポイントです。

相手の希望や意見を軽んじて強引にM&Aを推し進めれば、そこに所属する役員や従業員との関係に軋轢が生じる可能性があります。その結果、不和や内部分裂に発展する可能性もあります。

なぜならば、M&A対象会社の収支は、既存の企業文化の中でいままで働いていた社員が培ってきたものです。そのため、企業文化を大きく変えようとすると既存社員の不満は溜まり、最悪の場合は退職してしまい、店舗の運営すら大変になります。こうなると既存社員の貢献による収支の前提が変わってしまい、M&Aをした意味すらなくなる可能性があります。

M&Aは従業員などを含めて、相手企業の歴史や企業文化を一括して譲り受けることです。買収対象の企業文化を理解することは、M&A実施後の円滑な運営において重要な要素だと覚えておきましょう。

③しっかりとしたデューデリジェンスの実施

「デューデリジェンス」とは、M&Aのターゲットに対して行う調査のことで「買収監査」とも呼ばれます。

前述したように、買収対象となる飲食店の経営リスクについては、表面的な資料や企業情報などからは把握することができません。そういった経営リスクを洗い出すのがデューデリジェンスになります。

M&Aにおいては、専門家へデューデリジェンスを依頼することが基本になります。公認会計士、監査法人、税理士、弁護士、財務系コンサルティング会社などの専門家が、買収対象を詳細に調査することで経営リスクが明確になります。もちろん費用はかかりますが、M&Aの失敗を防ぐためにも重要なプロセスです。M&A実施の際はデューデリジェンスを必要な範囲で専門家に依頼するようにしましょう。

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まとめ

今回は、飲食店オーナーがM&Aで知っておくべき注意点や、成功のためのポイントについて紹介しました。飲食店のM&Aで失敗しないためには、デューデリジェンスをはじめとした経営リスクの把握や、ターゲットの正しい選定などが重要となります。

これらを正しく行うためにも、飲食業界に精通している専門のM&Aコンサルタントへ仲介依頼をしましょう。専門家の的確なサポート受けることで、新店舗出店の成功率を確実に上げることができます。