【飲食業界】厳しい競争を生き残るためのM&Aとは?

「飲食店経営の業績が伸び悩んでいる」「飲食業界で生き残る方法を知りたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。 飲食業界は、人間が存在する限り常に一定の需要がある業界です。しかし、飲食業界は非常に競争が厳しく、生き残りが難しいのが現状でしょう。 今回は「飲食業界が今どういう現状にあるのか」を解説すると共に、「飲食業界で生き残るにはどうすればいいのか」について紹介します。


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飲食業界の現状

飲食業界は、市場売上全体として緩やかに拡大しています。。つまり、飲食に対する需要が増加しつつあるということです。しかし、増える需要とは反対に、飲食業界では深刻な人手不足等によって経営が切迫している店舗が年々増加しています。

市場売上は緩やかな増加傾向

飲食業界全体の売り上げを見てみると、緩やかに増加していることがわかります。2019年行われた日本フードサービス協会会員社の調査によると、飲食業界では前年よりも約1.9%売り上げが増加しています。

内訳を詳しく見てみると、ファストフードが前年比103.4%の売り上げ増加を記録しており、好調なようです。この傾向の背景としては、共働きの家族や単身世帯が増加したことに加え、働き方改革によってテレワークの推進が進んだことが考えられるでしょう。

このような人々は外食をするのではなく、デリバリーやテイクアウトした料理を家で食べる傾向が強いためです。結果として、すぐにデリバリーやテイクアウトが可能であるファストフードの売り上げが増加したと考えられます。

一方、パブレストランや居酒屋などでの売り上げは減少しています。これらの形態の飲食店は店舗数、客単価のどちらも減少傾向にあり、経営が苦しくなっています。背景としては、若年層が飲酒をしなくなったことやファミリーレストランなどでの「ちょい飲み」で済ませる人が増加したことなどが挙げられます。

飲食業界全体では売り上げが増加していますが、その内訳を見ると勢いに乗っている業界と衰退しつつある業界の双方があることがわかります。また、今後は新型コロナウイルスの影響により、飲食業界全体の業績も下降していくと考えられます。

深刻な人手不足

外で飲み食いをする人がいる限り、一定の需要が保たれる飲食業界ですが、現在では深刻な人手不足に苦しんでいます。

帝国データバンクの調査によると、飲食店の80%以上が人手不足という問題を抱えています。根本的な背景としては、少子高齢化による生産人口の減少がありますが、その他にも「労働環境が厳しい」「給与水準が低い」などの要因が考えられます。

厚生労働省の2016年の調査によると、日本全体の平均休日日数が108日であるのに対し、飲食業界の平均休日日数は95.7日にとどまっています。このデータから、飲食業界では拘束時間が長く、労働環境が比較的厳しいことがわかります。

多くの飲食店が土日祝日や夜間にも営業しているため、休日が不規則になりやすい傾向が顕著です。これも労働環境を悪化させている要因と考えられます。

また、飲食業界での給与水準は他の業界と比べて低いといわれています。飲食店では客数を予測することが難しいにも関わらず、一定の従業員を常に確保しておかなければなりません。営業中は常に人件費がかかるため、その費用を低く抑える必要があるのです。

さらに飲食業は利益率が低いということも、給与が低い原因となっています。飲食業界ではいかに低価格で商品を販売するかの競争が起きている一方、仕入れや家賃などの費用は高くなる傾向にあります。そのため、利益率が低く、人件費などの費用を抑制する必要があるのです。

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生き残り戦略のためのM&A

飲食店が競争を勝ち抜く生き残り戦略として、M&Aが注目されています。2000年以降、外食業界においてもM&A事例が徐々に増加していき、2006年には成約件数70件を超え、一度ピークを迎えました。しかしその後、リーマンショックをはじめとした景気低迷により、2012年には成約件数が29件まで減少しています。

2012年に安部政権が発足すると、アベノミクスなどによる景気回復とともにM&A成約件数は次第に回復していきました。2017年には78件、2018年には80件、2019年には101件と過去最高を記録するまでにいたっています。

また、昨今では中小企業の事業承継や若手経営者による戦略的M&Aなどが増加しており、中小企業にとってM&Aがより身近なものとなってきています。

飲食店がM&Aをすべき4つのメリット

飲食業界で生き残るためには、M&Aを行うことが非常に有効です。飲食店がM&Aを行うことで、4つの大きなメリットを得ることができます。

優秀な人材の確保

ひとつ目は、「優秀な人材を確保できる」点です。

飲食店の多くは深刻な人手不足に苦しんでおり、このままでは人手不足倒産に陥る店舗が増加すると予想されています。人手を確保するためには求人応募をしなければなりませんが、飲食店業界での求人倍率は非常に高く、獲得競争は非常に厳しいのが現状です。

しかし、M&Aを行うことで事業や従業員をそのまま引き継ぐことができるので、人材獲得に多大なコストや時間をかけることなく、優秀な人材を確保できます。

コスト削減

ふたつ目は、「コストを削減できる」点です。

M&Aによって事業規模が拡大することで、仕入れ量が増加します。仕入れ量の増加により、仕入れ単価が下がり、全体的に仕入れに係るコストを大幅に削減(スケールメリット)することが可能です。

新たな顧客獲得

3つ目は、「新たな顧客を獲得できる」点です。

例えば、異業種の企業と協力することで、今までとは異なる新たな客層の需要にも対応できるようになります。例として、2015年にフジオフードシステムが博多ふくいちと資本業務提携し、明太子を使った料理を提供する飲食店を新たに展開しています。この提携したことによりフジオフードシステムが取り入れることができなかった顧客層を獲得することに成功しています。

知名度及び信用力の向上

4つ目は、「知名度・信用力が向上する」点です。

M&Aをした相手の企業が認知度の高い企業である場合、そのブランド力の恩恵を受けることが期待できます。新事業を展開するにあたり、認知度は非常に重要な要素であるため、M&Aは事業拡大という面でも有効な生き残り戦略でしょう。

また、M&Aが出来る会社として、会社としての信用力も増すことになります。様々な新しい案件の相談等が増えると共に、銀行などの融資も受けやすくなるでしょう。

M&Aを行った飲食店の例

M&Aによってさまざまな成果を上げた飲食店は多くあります。普段利用している有名な飲食店の多くも、実はM&Aを行っています。

事例1

「やよい軒」や「ほっともっと」など、有名な外食チェーンを運営する「株式会社プレナス」は、調味料の製造販売を強みとしている「宮島醤油フレーバー株式会社」を子会社化しました。これにより、プレナスは調味料などの開発技術を外食に応用することができるようになり、M&Aの主要目的である生産コストの削減を行うことに成功しました。

事例2

牛丼チェーンである「すき屋」を経営する「株式会社ゼンショーホールディングス」は、「株式会社ココスジャパン」や「株式会社ビックボーイ」などとM&Aを行い、既存の事業とは異なる分野の飲食店を展開しています。これにより、新たな客層を獲得することに成功しました。

事例3

有名な回転寿司店である「スシロー」を経営する「株式会社スシローグローバルホールディングス」は、「株式会社元気寿司」と資本業務提携を行っています。回転寿司の拡大はもちろんのこと、回転しないフルオーダーの寿司を安い値段で提供するサービスを展開しました。スケールメリットの恩恵により、米の仕入れコストを削減することにも成功しています。

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まとめ

競争が激しい飲食業界では、需要の増加とは裏腹に、人手不足の問題が深刻です。このような飲食業界で生き残るためには、M&Aを行うことが非常に有効でしょう。

そうすれば人不足を解消できると共に、新しい顧客層の獲得や知名度の向上によって、事業をさらに拡大することができます。また、飲食店では非常に重要な要素であるコストも、大きく削減することが期待できます。

なお、M&A事情は業界ごとに異なります。飲食業界であれば、飲食業界に精通しているM&Aの専門家に相談するのが成功のカギだといえるでしょう。

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飲食店を今後も存続させたいと考えている方は、M&Aという手段も検討してみてはいかがでしょうか。