M&Aを活用した飲食店の事業規模拡大について

事業規模を拡大する方法には、自社のみで拡大する方法と、M&Aを活用する方法の2つがあります。飲食店業界なら、M&Aを活用することでよりスピーディーに事業規模拡大を実現できるでしょう。 この記事では、実際の事業規模拡大方法や実務上のポイントを解説していきます。


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飲食店の事業規模拡大にM&Aがおすすめである理由と方法

M&Aといっても買収の仕方(以後、買収スキーム)によって手続きは異なります。また、それぞれの買収スキームによってメリット・デメリットがあるので、それぞれを比較検討してスキームを選択するようにしましょう。

M&Aがおすすめである理由について

飲食店がM&Aを実施する一番のメリットは、経営基盤がすでにできあがった店舗を引き継げることです。

自社のみで新規に出店する場合、地域の調査、店舗候補のリストアップ、家賃等の交渉、内装工事、新規オープンのマーケティングなど、やるべきことは数多くあります。
一方でM&Aであれば、すでに固定客がいる状態で引き継げるため、スピード感をもって事業拡大ができるでしょう。

また、M&Aによって買収先が保有している知識、技術、ノウハウなどを獲得することができます。これらを自社のお店に活用することで、買収先だけでなく、自社にもポジティブな影響を与えることができます。

買収スキームについて

M&Aの買収スキームは、下記のとおりさまざまなものが挙げられます。それぞれの買収スキームによって手続きや得られる効果が変わるので、それぞれ個別に見ていきましょう。

・株式譲渡
・事業譲渡
・合併

買収スキームごとのメリット・デメリット

それぞれの買収スキームにはメリット・デメリットがあるので、比較検討のうえで買収スキームを決定することが大切です。スキーム選択が間違ってしまえば、M&Aの効果も半減してしまいます。

では、買収スキームごとにともなう、メリットとデメリットを解説していきましょう。

株式譲渡

株式譲渡とは、売手から買手に株式を譲り渡してもらう買収スキームです。株式譲渡のメリットは、株式を譲渡するだけなので手続きが比較的簡便であることです。取引先等との契約関係や従業員との雇用関係等も維持したまま承継できます。また、売手の株式を100%すべて買う必要もなく、50.1%以上の株式譲受など持分比率は調整できます。

デメリットは「買収先が複数店舗を営んでおり、A店舗は黒字、B店舗は赤字」といったケースで株式譲渡を行うと、A店舗とB店舗のどちらも引き継がなければいけない点です。また、対象会社に借入金があれば自動的に借入金も引き継いでしまう点にも注意しておきましょう。簿外負債や訴訟などを抱えている場合も考えられるため、買収前には十分なデューデリジェンスが必要です。

事業譲渡

事業譲渡とは、売手から買手に事業そのものを譲り渡してもらう買収スキームです。

事業譲渡のメリットは、事業のすべてではなく自社に必要な部分だけを買収できる点です。前述した事例のケースでは、A店舗だけを事業譲渡することにより、黒字店舗だけを引き継ぐことが可能となるでしょう。

そのため、事業譲渡の範囲をきちんと定めなければならず、その事業のBS、PLを作成する必要がある点です。仮に事業全体の財務諸表しか作成していない場合は、売手は事前に対象事業のBS、PLを作成しなければなりません。

デメリットは、契約関係を全て締結し直す必要があることです。対象となる事業に関する賃貸借契約、食材取引契約、雇用契約等の相手方と交渉の上、契約を新規で巻き直すか、契約上の地位の移転の覚書を締結することになりますので、相手方によっては条件交渉となることもありますし、交渉が長期化することもあるでしょう。

また、事業譲渡の場合は消費税もかかることに留意が必要です。売手としては関係ありませんが、買手にとっては買収額が消費税の10%分、加算されてしまうので大きなインパクトがあります。

合併

合併とは、2つ以上の会社が1つにまとまる買収スキームです。そのため、取引先等との契約関係や従業員との雇用関係等も維持したまま承継できます。合併のメリットは、1つの会社となることでM&A後の管理が楽になる点、状況によっては節税メリットがある点などが挙げられます。

デメリットは合併が会社法に則って行われるため、手続きが法律で厳格に定められており、複雑である点です。たとえば債権者保護手続き、労働者保護手続き、公告、株主総会の特別決議など、さまざまな手続きをしなくてはなりません。

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M&Aによる事業規模拡大のポイント

ここからは、M&Aによって事業規模拡大をしていく際に気を付けておくべき点を解説します。

入念な事前準備と調査を行う

事業規模を拡大させるためには、買収対象の飲食店はどこでも良いわけではありません。まずはあなたが買収対象に求める条件を明確にし、その対象のイメージを膨らませておきましょう。

具体的なイメージの例の一部には、以下のものが挙げられます。
・爆発的な成長はないが、固定客が多く安定的に利益を出せる店舗
・原価率が低く、赤字になりにくい料理がメインの店舗
・人通りが多い道路沿いに店舗があり、新規客の割合が高い店舗

また、異業種から初めて飲食店を買収したいと考えている場合は、当然ながら飲食業界のトレンドや市場調査など、深いリサーチが必要です。

飲食店のM&A特有のシナジーを意識する

M&Aが成功する秘訣としては、事前に計画していたシナジーを実現することにあります。特に飲食店のM&Aはコストシナジーが実現されやすい傾向にあるといえるでしょう。たとえば、M&Aにより事業規模が拡大すれば、ビールなど酒類の仕入も拡大するので、仕入先に対して仕入単価の減少を交渉できる可能性が高まります。

このようなコストシナジーは、売上拡大シナジーよりも実現されやすいことが特徴です。これにより当初計画していた投資に対する回収を早められることになりますので、失敗するリスクを減らすができます。M&Aの前には事前にきちんとシナジー実現のための計画を立てておき、効率的で効果的な事業規模拡大を目指しましょう。

交渉はスピーディーに行う

M&Aの中でも飲食店業界は変化の激しい業界です。気になる店舗がすでにある場合はできるだけ早くアプローチをするべきでしょう。遅くなってしまえば、他の競合飲食店に先に買収されてしまう可能性もあるからです。

たとえすぐに買収することはできない場合でも、買収候補先と良好な関係を築くことができれば、他社に横取りされづらくなります。また、将来的に独占交渉の機会を得ることができ、じっくりと腰を据えてM&Aの話ができるかもしれません。

M&A成功のためには、事前にこの日までにM&Aを実現するといった目標を立て、逆算でスケジュールを立て、そのとおりにアクションするスピード感が求められます。

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M&Aを活用した飲食店の事業規模拡大は専門性の高い分野

ここまで説明したように、飲食店の事業規模拡大のためにはM&Aは非常に有効だといえるでしょう。

M&Aには株式譲渡、事業譲渡、合併などさまざまな買収スキームがあり、どの買収スキームを選択するかによりM&Aの効果も変わります。また、一度買収スキームを選択した後に、間違いに気づいてしまっても、後戻りは難しいことは理解しておかなくてはなりません。そのため、事前の検討が最重要といえます。

M&A成功のカギは、信頼できるM&A仲介会社に依頼することです。特に飲食店業界に知識や経験を有したコンサルタントでなければ、M&Aによるより良い事業規模拡大を実現できないでしょう。

M&A Propertiesであれば、創業以来、飲食業における取り扱い総額は10年間で450億円という豊富なM&A実績があります。

飲食店のM&Aについて熟知した、経験豊富な専門コンサルタントが在籍しており、初期検討、交渉、買収スキームの検討、デューデリジェンスなど、M&Aに関することをトータルでサポートできます。

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まとめ

M&Aには大きく分けて3種類の方法があります。株式譲渡、事業譲渡、合併です。この3種類の買収スキームには、それぞれメリット、デメリットがあり、あなたが置かれている状況や相手との関係などにより、適用すべき買収スキームは異なってきます。

基本的にスキーム選定は専門性の高い分野であるため、もしあなた自身でM&Aの実行が困難だと考えるのであれば、専門家に相談することをおすすめします。飲食店業界のM&Aを行うなら、飲食業界とM&Aの両方の分野に詳しい専門家に相談するのがベストでしょう。